資産としてのワイン
私どもはワインを買い取るというビジネスをしており、それをオークションやお店で個人の方々に販売しています。その中で見えてくる資産としてのワインの実態を少しお話していければなと考えています。
資産としての特徴をいくつかお話しする中でまず、他の資産と最も違うことは
「飲み物である」
ということです。
飲み物であるということは、デメリットが多くあります。時間の経過とともに内容物の状態が変化していきます。状態は保存をしっかりして減点がゼロであって、状態保存を怠るとその分だけ減点されていきます。通常の飲み物であれば賞味期限があります。ワインも商品によっては賞味期限があるといっても過言ではありません。ボジョレーヌーヴォーはその年に飲み切りたいですし、市販で1000円程度のワインが2,3年以上経っていくと飲み頃を失ってしまいます。鮮度が落ちるのです。つまりこれは資産性はほとんどゼロといえるでしょう。
一方で飲み物でありながら、農作物であり、その年その年の特徴があり、生産本数に限界があるために、他の金融資産と全く異なる点が一点あります。それは、経年によって価値が上がっていく商品があるということです。飲み物であるがゆえに飲まれていきます。しかしその年のワインを2度作ることはできません。有限の商品だということです。これは採掘されながらも工場などで消費されていく銀などと似ています。例えば、ロマネコンティ、ムートンロートシルトなどは年ごとに有限であり商品性もあるので資産性が高いと言えます。
経年によって価値が上がる。これはワインにとって他と違うとっても面白い、最大の特徴と言えます。
高級ワインの多くは生産から20~30年後に味がピークになるように作られていますが、この20~30年後の価値を現在の価格に転嫁することが困難なことが原因です。20年後には3倍になるワインも、保存をしっかりしながら持ち続けなければいけないという見えないコストが価格をそのまま20年後の価格に押し上げない原因だと思います。本当のプロや生産者は20年後の予想価格から維持コストを差し引いて価値を換算し、利益を乗せているでしょうが、一般的には難しい問題です。
ワイン倉庫会社や自宅セラーにおいて管理できる数には限りがあり、20年もの間には何らかの理由で手放さなくてはならなくなる必要も出てくるからです。